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【特別展】朧型の紅型衣裳/黒漆の螺鈿の漆器

特別展
2024.11.29〜12.25
終了しました

特別展示室では、毎月「国宝 琉球国王尚家関係資料」の美術工芸資料および文書資料をとおして、琉球国王尚家の歴史と王国時代の遺物をご紹介しています。

 

 

衣裳は「朧型(おぼろがた)の紅型衣裳」をご紹介します。

 

紅型は、布地の上に型紙を置き、その上からさらに糊を置いて、色を差して染めます。

通常は1枚の型紙で染めますが、朧型では型紙を2枚使います。

通常の文様を染める型紙に、もう1枚の型紙を加えて、地紋のような細かい柄を染めることで、複雑で奥行きのある文様を表現しています。

 

朧型は、糊置や色差しの手間が通常の倍以上かかり、技術的にも大変難しい染め方です。

朧型の紅型衣裳は、王国時代の紅型職人たちが、王家の人々のために技術の粋を尽くして作りあげたものなのです。

 

 

調度品は、先月に引き続き「黒漆と螺鈿の漆器」をご紹介します。

 

琉球王国時代、漆器は中国や日本へ琉球の威信を示す献上品であり、王国の経済基盤を支える重要な工芸品でした。

王府は貝摺奉行所(かいずりぶぎょうしょ)を設置して生産管理を行い、その高度な品質を維持しました。

 

琉球での漆器製作は15世紀頃から始まり、螺鈿(らでん)、箔絵(はくえ)、沈金(ちんきん)、堆錦(ついきん)など様々な技法が発達しました。

中でも螺鈿製の漆器は、材料のヤコウガイが琉球の近海で手に入る事もあり、17世紀頃から盛んに作られるようになりました。

大きな貝片をふんだんに使った豪華な螺鈿漆器は、中国皇帝へも献上され、北京故宮博物館には現在でも螺鈿の琉球漆器が多数保管されています。

 

 

王国時代の貴重な記録と、精緻な美術工芸品をぜひご覧ください。