王国時代の冬衣装/龍の漆器と書
特別展示室では、毎月「国宝 琉球国王尚家関係資料」の美術工芸資料および文書資料をとおして、琉球国王尚家の歴史と王国時代の遺物をご紹介しています。
今月は、尚家資料から「王国時代の冬衣装」をご紹介します。
気候が温暖な琉球でも、冬になると絹や木綿(もめん)で出来た防寒着を着用しました。
木綿は現在では夏物という印象が強いのですが、苧麻(ちょま)や芭蕉(ばしょう)よりふっくらとして暖かいため、冬物として利用されていました。
木綿は琉球でも栽培されていましたが、芭蕉などよりも栽培が難しく貴重な繊維だったため、身に付けられたのは主に士族層で庶民にとっては贅沢品でした。上級士族は、さらに裏地を付けて袷(あわせ)衣裳にし、防寒性を高めました。
王族や上級士族は、内側に中国式の丈が短い絹製の袷衣裳「馬掛子(まーくゎー)(唐(トー)ビーター)」を内側ーに重ね着することもありました。
調度品は、先月に引き続き、龍が描かれた漆器や書をご紹介します。
中国では古くから、鳳凰(ほうおう)、麒麟(きりん)、亀、龍を四瑞(しずい)と呼び、めでたいときに現れる生き物とされ、崇められてきました。
さらに龍は東西南北を守る神・四神(しじん)のひとつであり、青龍(せいりゅう)として東の方角をつかさどります。
琉球王国時代に様々な形であらわされた龍をどうぞご覧ください。
文書資料も先月に引き続き、伊江御殿家資料をご紹介します。
伊江御殿家は摂政や行政機関の長など、高官を歴任しました。
その伊江御殿家に代々受け継がれてきた伝来品は、当時の上級身分の生活の一端を垣間見ることができる貴重な資料群であり、2002年には沖縄県有形文化財に指定されました。その後、2019年には県指定を受けた一部が国の重要文化財指定を受けました。
文書・記録類は家譜、職歴関係記録や首里之詔(しゅりのみことのり)(辞令所)、生子証文(出生届)、口上覚等があります。特に首里之詔は、重要な役職や地頭地(ぢとうち)(所領)を与える最も格の高い文書で、伊江御殿家には25通も伝来しています。
王国時代の貴重な記録と、精緻な美術工芸品をぜひご覧ください。