鳥が描かれた紅型衣裳/黒漆と螺鈿の漆器
特別展示室では、毎月「国宝 琉球国王尚家関係資料」の美術工芸資料および文書資料をとおして、琉球国王尚家の歴史と王国時代の遺物をご紹介しています。
今月は、尚家資料から「鳥が描かれた紅型衣裳」をご紹介します。
紅型の文様に登場する鳥には、鳳凰(ほうおう)、尾長鳥(おながどり)、鶴(つる)、燕(つばめ)などがあり、今回展示している衣裳には、尾長鳥(おながどり)と燕(つばめ)が描かれています。
尾長鳥(おながどり)は「明(あ)けの鳥」とも呼ばれ、夜明けに鳴き声で一日の始まりを告げる高貴な鳥とされています。燕(つばめ)は南から渡って来て春の訪れを告げる鳥で、番(つがい)で雛鳥を育てることから、子宝や夫婦円満の象徴ともされています。
いずれも縁起の良い吉祥(きっしょう)文(もん)として知られている鳥で、色とりどりの鳥たちが衣裳の中を生き生きと飛び交う様子が描かれています。
調度品は、黒漆と螺鈿の漆器をご紹介します。
琉球王国時代、漆器は中国や日本へ琉球の威信を示す献上品(けんじょうひん)であり、王国の経済基盤を支える重要な工芸品でした。王府は貝摺奉行所(かいずりぶぎょうしょ)を設置して生産管理を行い、その高度な品質を維持しました。
琉球での漆器製作は15世紀頃から始まり、螺鈿(らでん)、箔絵(はくえ)、沈金(ちんきん)、堆錦(ついきん)など様々な技法が発達しました。
中でも螺鈿(らでん)製の漆器は、材料であるヤコウガイが琉球の近海で手に入る事もあり、17世紀頃から盛んに作られるようになりました。大きな貝片をふんだんに使った豪華な螺鈿漆器は、中国皇帝へも献上され、北京故宮博物館には現在でも螺鈿の琉球漆器が多数保管されています。
※調度品は9月4日(月)まで